【温泉】限界過疎観光地・湯河原【みかん】

オタクの旅log

神奈川県で温泉地といえば誰もが頭に浮かべるのが箱根だ。高級な旅館も存在し、山奥に存在するリゾート地として日本人だけでなく、今や海外の人も多く訪れている。そんな箱根の存在感故に日陰に隠れてしまっているのが「湯河原」だ。

私は湯河原に2度ほど訪れている。まだコロナによる規制の強かった2022年と、コロナによる規制がすっかりなくなった2024年だ。この2回で湯河原について色々と感じたことがある。

この場所はすでに限界だ。

都心から90分の湯河原

湯河原は東京から電車で1時間半ほどでたどり着ける場所だ。お金に余裕があるならば、東京から3駅ほどだけ新幹線に乗って小田原までいき、そこから東海道本線に乗り換えれば50分でたどり着くことも出来る。

都心から90分、かなり手軽な距離にあるものの、あまり湯河原が選ばれることはない。なにせ、湯河原よりも箱根のほうが近い。箱根なら都心からロマンスカーを使えば75分で行ける。

湯河原のほうが25分ほど早くつけるが、これは手段を選ばない場合だ。新幹線で小田原まで行って乗り換えるという校庭を挟まずに、東京から1本で行けてしまう箱根のほうが近い感じがある。

更にもう少し行けば静岡県にはなるが熱海、伊豆や伊東などもある。この湯河原という場所はなんとも微妙な場所にある。あえて「湯河原」という選択肢が浮かばず、箱根や熱海に足を伸ばす人も多いはずだ

湯河原の観光資源

観光はそこになにか「見る」ものがあるからこそ訪れる場所だ。箱根は温泉街としての雰囲気も素晴らしく、ロープウェーや芦ノ湖、大涌谷などもありつつ、箱根小涌園ユネッサンなどのアミューズメント施設もある。

しかし湯河原はどうだろうか。私が2020年に訪れたときは滝をひたすら見た記憶がある。2024年は梅の季節に訪れたことで梅が咲き誇る「募山梅林」に訪れた。確かに梅は綺麗だったが、山は山だ。

以上が湯河原の観光資源である。なにもない。あまりにもなにもなさすぎる。箱根のような観光資源が湯河原にはない。だから、普通の人は湯河原はいかない。特に若い人はなおさらだろう。

私が訪れたときも山登りが趣味ですというお年寄りくらいしか見かけなかった。私が湯河原に訪れた目的は温泉であり、私が住んでる横浜から手軽に行けるということもあり行っただけだ。観光が目的ではなく、温泉が目的だ。

なら箱根に行けば良い。湯河原のほうが価格的には多少お得で、私が目的とする客室温泉がお手軽な金額で行けるからこそ湯河原を選んだだけだ。同価格なら箱根を間違いなく選ぶ。

湯河原はさびれてる

湯河原ははっきりいって寂れてる。湯河原駅を出るとおみやげさんが2店ほどあるが、いわゆる「食べ歩き」するような若者向けのエリアはない。五月みどりさんのお洋服屋さんや、バーガーショップ、せんべいや、干物屋、コーヒーショップ、コンビニ、それくらいだ。

明らかに寂れている。人通りも観光地とは思えないほど少なく、そのあたりの快適さはあるものの、同時に「この街は大丈夫なんだろうか?」と観光客目線で不安になってしまう。

湯河原駅から少し車で移動すると山の方に旅館が多く立ち並ぶエリアもあるが、そこでさえ寂れたムードが漂っている。旅館の看板は数多くあるものの、もはや廃墟になっているような建物も多く、街に活気がない。わざわざ活気がない、寂れた街に観光に訪れる人はいない。

それほどしなびたムードが街全体に漂ってしまっている。

湯河原の隣は限界過疎地

湯河原駅の隣に「真鶴駅」というのがある。ここは神奈川県で唯一の過疎地域に任命されている。過疎地域の隣りにあるのが湯河原だ。隣の町が過疎地域なのに、湯河原が過疎地域じゃないわけがない。

「温泉」という観光資源があるからこそ観光業で成り立ってはいるものの、若者がこの街にわざわざ引っ越してくる理由もなく、湯河原で育った若者も都会へと引っ越してしまう。後期高齢者社会なだけにお年寄りが無くなれば無くなるほど人口は減りつづける。

それはどこの街も同じかもしれないが、一応は神奈川県の温泉地ではあるのに、箱根に比べてありとあらゆる点が劣っていると感じてしまった。

湯河原の泉質は良い

ここまでデメリットばかり行ってきたが、泉質自体はすごく良い。私もいろいろな温泉に入ってきたが、「万葉集」に詠われた関東一の古湯という謳い文句は伊達じゃない。箱根よりも泉質が良いという人も結構いるくらいだ。

その泉質の良さを活かしきれていないのがもったいない。私が泊まった旅館は駅チカの「ホテル城山」というところだが、ここは現在もリフォームを繰り返し、客室を次々と露天温泉付き客室に変えている。部屋食にもこだわっていて満足度が高い旅館だ。

ホテル城山に1度泊まって良かったからこそ2度目も訪れた。余談だが、私が妻と結婚する前に訪れた温泉地であるがゆえに思い出もある。今回訪れたのもそんな思い出と「ホテル城山」の良さがあってこそだ。

逆に言えばホテル城山が良くなければ2回目はなかった。わざわざ他の旅館を探してまで湯河原に行こうとは思わない。湯河原という場所はそういう場所だ。

湯河原みかん

湯河原の名産の一つがみかんだ。街を散策するといろいろな場所でみかんを売っているし、みかんを使ったジュースやお菓子なども多い。愛媛県のみかんと比較した訳では無いが、ふつうに美味しいお手軽なみかんという印象で、それ以上でもそれ以下でもない。

わざわざ湯河原のみかんを取り寄せてまで食べたいとは思わない。実際、湯河原という場所は知っていても「みかん」が有名だと知らない人も多いだろう。ブランドとしての価値を作れていない。

観光地というものはブランドだと私は思っている。その土地に対するイメージ、そのイメージが多くの人に強く印象付けられていれば、その観光地は流行る。

北海道なら雪があって海産があって多くの動物と触れ合える。そんなイメージが多くの人を呼び込む。そのイメージを強くしていけば、それはやがてブランドになり、観光資源になる。

湯河原はそこが甘い。温泉街もさびれまくっていて活気がなく、みかんもそこまで有名ではない。あとは山だったり滝だったりしかない。湯河原という場所をブランド化しきれていないせいで寂れてしまっている。

場所自体は都心からも行きやすいのに、それを活かしきれていない印象だ。

ちぼりスイーツファクトリー

駅から少し歩くと「ちぼりスイーツファクトリー」がある。クッキーなどで有名な会社だ。
実際にここでクッキーを生産しているらしく工場見学も無料でできる。

更にクッキーもドリンク付きで600円で楽しむことが出来る。しかも食べ放題だ。わー、なんて素敵で魅力的な観光地なんだろう!
そうはならないのが湯河原。

たしかにクッキーは美味しいが、クッキーはクッキーだ。限界値は恐ろしく低い。これが東京の池袋などにアレば大繁盛すること間違いなしのクッキー食べ放題のお店になるかもしれないが、湯河原にわざわざクッキーを食べに来る人は少ないだろう。

たしかに美味しいが、クッキーよりもぶっちゃけ「みかんシュークリーム」のほうが美味しかった。なんだか本末転倒な場所だ。

湯河原のきび餅はうまいけど…

みかん以外にも「きび餅」を推している。これはたしかにうまい。だが、それだけだ。どれもこれも決め手にかける観光地、それが湯河原なのかもしれない。

湯河原のみかんはおいしいけれど、特別おいしいわけではない。

湯河原温泉の泉質は良いけれど、そのために行くには微妙。

湯河原の自然はたしかにきれいだけど、都心を離れればどこでも自然は見れる。

湯河原のきび餅はたしかに美味しいけれど、地味。

インパクト不足だ。それを街全体もわかっているのか、湯河原という場所の寂れたムードはやばい。人によっては湯河原は静岡県と認識してる人もいる。この微妙な位置も悪いのかもしれない。

色々と書いてしまったが、子供の頃から神奈川県に住んでる私とすれば、湯河原がもっと盛り上がってくれることを祈りたい。なお、私が2024年に行った際は鬼滅の刃とコラボしていた。

今更感がすごい。これが2年前なら多くの鬼滅ファンを呼び込めたかもしれないが、ブームも落ち着いた2024年にコラボされても…という感じだった。

もう少しなんとかならないか湯河原、なんとかなってくれ湯河原。

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