打ち切りになる理由も分かる「レッドスプライト」レビュー


週刊少年ジャンプで連載していた漫画作品、
作者は屋宜知宏。
全2巻でいわゆる打ち切り漫画だ。

ストーリー的には王道。
「雷髄」と呼ばれる新しいエネルギーは見つかり、
磁力を使ったエンジンで飛行船が飛び交ってる時代、
しかし、その「雷髄」は問題の有るエネルギーだったが、
人間に打ち込むことで効率よくエネルギーを取り出せると言う秘密がある。

そんな世界観で主人公は「雷髄人間」と知らずに、
孤児院のような場所で過ごしていたが、ある日、軍に襲われ、
一緒に暮らしていた6人の仲間を軍にさらわれ、
先生は自分に真実を伝えて死亡してしまうと言う感じだ。

ストーリー的には王道なのだが展開が早い。
先生を殺した仇もあっさり見つかり殺してしまうし、
軍の親玉的なやつと四天王的な敵にも序盤の段階で会ってしまっている。
さらわれた仲間もすぐ一人ゲットし、二人目もすぐ見つかる。

数字で物語の進行度合いが分かるのは良いのだが、
6人の仲間を助ける、7人の四天王的存在を倒しボスという、
ストーリーの流れが序盤から見えてしまい、
なんとかあきさせないようにストーリーのテンポを早めすぎている感じだ。

肝心の戦闘シーンも微妙だ。
「雷髄」というのが物語の中核に有り、簡単に言えば電気だ。
キャラクターの能力も全て電気関連という縛りが生まれてしまっており、
序盤の段階で能力のボキャブラリーの限界を感じる。

特に主人公の能力は電気を使って身体能力をアップさせて、
物凄い高速で動くと言う能力。
「HUNTER×HUNTER」のキルアである(苦笑)

基本的に一人1能力なようでワンパターンな戦闘シーンが多く、
敵も電気人間なため、バチバチバチバチな戦闘シーンが
序盤の段階でマンネリを生んでしまっている。

王道といえば聞こえが良いのだが、
王道ではなく「よくある」作品という感じの印象が強くついてしまい、
オリジナリティというのを感じない。

逆にオリジナリティを出そうとして能力に電気縛りの制限をつけてしまったり、
主人公の一人称が「小生」だったりと、
オリジナリティを出そう出そうとして袋小路に迷い込んでいる感じが強い。

設定や世界観自体は悪くないと思うのだが、
その設定や世界観を説明するための説明セリフが非常に多く、
1ページあたりのコマ数が少ない割には1コマ1コマに
かなりのセリフを詰め込んで説明しているシーンが多い。

さらに言えば画力も追いついていない。
飛行船同士のバトルシーンも有るのだが、これがびっくりするほどださい。
体当たりでズコズコズコなんか犬の小競り合いのような
戦闘シーンを見せられても萎えるだけだ。

「飛行船」のデザインも悪く、
エクスキャリバーなんて御大層な名前がついているのにこれである(苦笑)

全体的に見て打ち切られる漫画だなーと言う感じだ。
早すぎるストーリー展開、詰め込んだ世界観と設定、
魅力にかけるキャラクター、画力が追いついていない戦闘シーンなど、
描きたいことは分かるのだが整理しきれずに表現しきれていない感じが強く、
説明セリフが増えれば増えるほど飽きてしまう作品だった。

単行本の2巻に読み切り版の本作品が載っていたのだが、
そちらは余計な設定の付け足しがなくシンプルに世界観と設定と
ストーリーの中でキャラクターが生きており、画力についても問題がなかった。

連載するにあたりストーリーを広げるための設定の追加が、
作品自体の面白さを薄めてしまったのかもしれない。
もっとシンプルに突き詰めれば面白い作品になる可能性があっただけに、
屋宜知宏先生の次回作に期待したい所だ。

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